数年周期で訪れる昭和リバイバルブームで今、レコードと同様に人気を呼んでいる中古カセットテープ。最近ではカセットテープの専門店もでき、そこに訪れる客は若い人から年配の方までと、世代を問わず愛されているのが分かります。カセットテープの人気の理由や現代のカセットテープ事情について調べてみました。懐かしくもどこか新鮮味のある中古カセットテープの魅力に、今こそ触れてみてはいかがでしょうか。
カセットテープは最新の機器に比べると手軽とはいえませんが、その手間こそが「じっくりと音楽と向き合える」と好評のようです。辛抱強さが必要だったり、リラックスせざるを得ないその独特な動きが良かったりと、人気の理由にはそれぞれあります。
当時愛用していた世代の人は小さい頃を思い出して懐かしさに浸り、今の若い世代にとってはCDとは異なる魅力的な媒体で新鮮味を与えてくれるカセットテープ。見た目のレトロ感がリアルタイムを経験していない世代には魅力的に映るはずです。音質はハイレゾ音源と比べると狭い周波数特性ですが、その狭さが音に厚みをもたらし、エネルギーの強さを感じられると好評。また、中古カセットテープ独特の「サーッ」という雑音も味があって逆に良いと評判です。CDなどの音源は一度パソコンにデータを転送してしまえばいつでも聞けますが、引き出しの奥にしまい込んだままということも。形のないデータにお金を支払う違和感に比べて、カセットは「モノ」としての価値観を認識できます。
時代がアナログからデジタルに移り変わるなか、音楽メディアもレコードからカセットテープ、CDからMDやMP3など、劇的な変化を遂げています。カセットテープの内容をいつまでも保存し続けたいという方に、手軽にデジタル化できる方法をいくつかご紹介いたしますので、参考までに。
アメリカをはじめとする外国では2014年頃から売れ行きは好調で、日本でもカセットテープの盛り上がりを感じるようになったのは2015年の初め頃からだといわれています。
工場の都合上、最低でも1000枚の発注が決められているCDに比べ、カセットテープは発注された数だけ生産できるので、在庫を抱える心配がなく赤字になりにくいのがメリット。小ロットで発注が可能なため、インディーズには好都合のようです。
カセットテープの売上に伴い、カセットテープレコーダーの売上も増加しています。家電量販店における2015年の売上は前年比20%増。60~80代が主な顧客のターゲット層としてあげられています。
近年、渋谷や中目黒などのお洒落な街の一角に、カセットテープを精力的に扱う店舗も急増。一部店舗は、レコードの比じゃないほど売上が伸びているといいます。カセットテープ愛好家はもちろん、若い世代からミュージシャン、外国人まで連日さまざまな客層が訪れるそうです。
人気歌手のジャスティン・ビーバーがカセットテープを採用した2016年グラミー賞候補アルバム「パーパス」を出したり、サ・ウィークエンドのグラミー賞受賞作「ビューティー・ビハインド・ザ・マッドネス」や映画のサウンドトラック、再集録版などをカセットテープで販売したりと、2016年は「カセット復活元年」と呼ばれました。
2007年には20万個にまで売上が下がったカセットテープですが、2015年には200万個にまで戻ったそうです。実は、アメリカではバンドやインディーズレーベルの間で、カセットテープにおまけとしてダウンロードコードを付けて販売する方法が流行しています。今後もカセットテープを採用するアーティストが増え、カセットテープの普及が予想されるでしょう。